その人の持つスキル云々以前に、釣りづらい状況や難しい状況はある。ノーフィッシュ。アングラーにとっては、出来れば経験したくないこと。しかし、これを100%確実に逃れることは出来ない。
ただ、このノーフィッシュという状況に対して、どう対処するかによって、その後の成長振りは大きく変わる。釣れなかった理由、出来なかった理由を探す?
一生懸命になればなるほど、状況を分析して、釣れなかった「理由」を探しだそうとする。そして、次の場面に備えるべく準備する。ただ、残念ながら同じ状況は二度と訪れてくれない。
だから、「次は、こうしよう」と思ったことが、そのまま実現出来ることの方が少ない。ノーフィッシュは、「失敗」ではない。うまく行かなかったという一例にすぎない。
反省することは、とても大切なことだけれども、それよりも、むしろ「よかったこと」を感じることが大事だ。この心構えは、間違いなく釣りを上達させてくれる。それは、過去の歴史が証明し続けてくれていることだ。
ある成功者の、うまくいかなかったときの口癖はこうだ。「これでまた、成功する確率が上がった」。エジソンは、電球の発明で何千回も失敗した。そして、助手にこういった。「うまくいかない方法を、またひとつ発見した」。
数々の成功者たちは、テクニカルな部分を極める以前に、自分を上達させるための考え方を会得している。
釣りは、突き詰めれば確率のゲーム。いかにサカナに出会う確率をあげるか、いかにサカナにクチを使わせる確率をあげるか。確率だけでみれば、誰もが認める天才イチローでさえ、10回打席に立って、4回打てるかどうかだ。
どんな状況においても、楽しめること。とても大切なことだ。ノーフィッシュ。OKじゃない? 「ありがとう。楽しみは、とっておいたよ」。そう、つぶやいてフィールドを後にしよう。
そして、次のビッグフィッシュとの出会いを大いに期待することだ。