バス釣りにハマリ始めた頃、生野銀山湖に行った。岩盤のエリアにジグヘッドを落としていく釣り。琵琶湖に慣れてしまっていた僕にとって、その釣り方には、よりどころが薄く辛いものだった。
バス釣りを教えてくれた同船者の人は、それでも、確実にバイトをとっていった。同じタイプのルアーを同じリグで扱っている。
何がそんなに違うのだろうかと考えていた。キャストしてから、巻き取るまでの一連の動きを観察した。そこで気付いたことは、フォールさせる長さ。僕の倍以上の時間で、ゆっくりと落としている。
気の遠くなるような釣り方だったが、その時間のイメージで真似てみることにした。すると、バイトがあってバスを手にすることができた。
その違いは、明らかにタナの違い。バスのいるタナまで、しっかりと落としていけるか。そのバイトのタイミングを掴んでからは、その釣り方に、ひとつのよりどころが出来たように感じた。
そのころは、まだ岩盤や岩を見切るノウハウがなかったが、時間をかけることで、それなりの釣果があったと記憶している。
どんな釣り方でもいえること。たとえ、エサが同じでもタナがズレていれば釣れない。バス釣りの場合は、それにヨコの動きも加わる。タテとヨコのタナを合わせるという感覚。
戦術よりも、戦略。その感覚を何となく掴んだような気がした日だった。