釣りは、いつも自分の思いどおりにならない。そのことを、釣り人はよく理解している。そうした中でも、自分のコントロールできるものは何か。それを見出し、実践できたものに、女神は微笑む。
そして、たとえ、その結果が望ましいものでないとしても、釣り人は、それを受け入れる哲学というものを備える。一方、日常生活においては、このバランスが危うい。
到底、自分のコントロール下にないものを、あたかも、コントロールできるかのように感じてしまう。そして、それが、思いどおりにならないことを、ストレスという形で、抱え込み病にまで発展する。
サカナと人間との違い。それは、言葉や意思疎通ができるということ。人間同士の繋がりは、共通の言葉を持って成される。だから、お互いに意思疎通ができると”思い込む”。
しかし、実際には、交わりようのない価値観によって、あらゆる解釈には齟齬が生じてくる。それが、ストレスの原因となる。サカナは、本能によって行動する。つまり、その行動パターンは、分かりやすい。
人間には、意思がある。だから、行動様式も一様にはいかない。とても、不謹慎な話だが、対人関係は、サカナより難しいと考えた方がいい。
つまり、思いどおりにならなかったとしても、それは、「今日は、アタリがなかった」。ただ、それだけのことに過ぎない。それは、サカナが自分を嫌ったわけでも、自分の能力が極端に劣っていたわけでもない。
「今日は、厳しかった」ただ、それだけのことだ。釣りと同じように、またやり直せばいい。とにかく投げ続けること。ただ、それが、唯一のバイトを得る方法だということを忘れないことだ。