河川という状況は、バスにとって決して、暮らしやすい環境ではない。もちろん、その大小にもよるだろうが、基本的には、河川の変化は極端だ。流れにしろ、増減水にしろ、その動きは、通常のダム湖よりも早い。
そして、起伏の乏しい護岸。水深の変化も、さほど大きくない。こうした状況の中での産卵は、決して簡単なことではないと想像できる。
まず、太陽光が差し込む水深。それでいて、陸から脅威を最小限にできること。加えて、流れによって流される心配のないところ。もちろん、干上がってしまうような場所はもってのほか。
こうした条件を、自然に感じ取り、もっともらしい所に、バスたちはネストを作る。この厳しさは、逆の見方をすれば、アングラーを支援してくれるものでもある。
つまり、バスにとっての条件の厳しさは、エリアの絞り込みやすさに比例してくる。条件の揃っている場所が少なければ、間違いなく、そこにバスはいるということになる。
「狙いどころがないな」そう感じたら、逆にチャンスと捉えてみよう。ほんの少しの条件の重なりが、バスを呼び込んでいる可能性が高い。
それは、散らばっている状態で、狙っていくことよりも、難しくはないはずだ。条件の厳しさや乏しさを味方につける。それも、アングラーの力量のひとつだろう。